結論:ブラウザで開いて、PDFを放り込むだけ
置き場所はここ。
やることは3つ。
- ページを開く
- 請求書や領収書のPDFをドラッグする
- 「ZIPで書き出す」を押す
出てくるのは 20240331_110000_(株)霞商店.pdf の形に直ったPDFと、索引簿のCSV。インストールも会員登録もなし。ファイルはどこにも送りません。そこは疑うのが当然なので、確かめ方まで後半に書いた。
なぜ作ったのか:自分のサイト運営で領収書が溜まった
このサイトを作るのにサーバー代とドメイン代を払っていて、その請求書がPDFでメールに届く。届いた時点では何も困らない。困るのは、あとから「あれ、いくらだったか」と探すときだ。
で、調べていて手が止まった。個人事業主でも、電子でやりとりした請求書や領収書は電子のまま保存する義務がある。 紙に印刷して保存、では要件を満たさない。
国税庁のリーフレット「電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和5年7月、2026年8月22日に確認)によると、保存の要件は3つある。
| 要件 | 中身 |
|---|---|
| 改ざん防止の措置 | 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて守る、など |
| 検索できること | 日付・金額・取引先で検索できる |
| 備付け | ディスプレイやプリンタを備え付ける |
引っかかったのは2つ目。実際に届いたものは seikyu●●●●●●●●●-xserver.pdf という名前だった(数字は伏せた)。これでは金額でも取引先でも探せない。
国税庁が「これでいい」と言っている方法は2つ
ここが分かるまで、専用のシステムを買わないと無理だと思っていました。実際は違った。同じリーフレットに、専用システムなしで検索要件を満たす簡易な方法が2つ挙げてある。
- 表計算ソフトで索引簿を作る
- 規則的なファイル名を付す
しかも2つ目には、こういう例示が付いている。
20240331_110000_(株)霞商店.pdf
日付、金額、取引先。この順で、区切りはアンダースコア。金額にカンマも円マークも入っていない。
そして、どちらか一方でいい。両方やる必要はない。
その前に確認したいこと
先に線を引いておく。2年前の売上高が5,000万円以下で、税務調査の際にダウンロードの求めに応じられる場合などは、検索要件そのものが不要とされています(令和6年1月1日以後にやりとりしたデータ。国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」、2026年8月22日に確認)。
つまり、規模によっては「そもそも義務ではない」側に入ります。自分がどちらなのかを確認してから手を動かしたほうがいい。私は義務ではない側だが、過去の領収書を探せない状態が単に不便なので作った。
作ってみたら、最初は6割しか当たらなかった
ここが本題。
やりたいことは単純で、PDFから日付と金額と取引先を読み取って、その3つでファイル名を組み立てるだけ。Claude Codeに指示して、テスト用の請求書PDFを5本作って測った。
結果は、20項目のうち12項目しか当たらない。正解率60%。日付はほぼ全滅でした。
原因1:文字が「見た目は同じでも別の文字」だった
PDFから取り出した文字を1文字ずつコードで表示させて、やっと分かった。
| 見えている字 | 実際に入っていた文字 |
|---|---|
| 月 | U+2F49(康熙部首の「月」) |
| 日 | U+2F47(康熙部首の「日」) |
| 金 | U+2FA6(康熙部首の「金」) |
康熙部首というのは、漢字の部首を表すためだけに用意された別枠の文字。見た目は普通の漢字と区別が付かない。でもコードが違うので、「発行日」を探すプログラムは「発⾏⽇」を見つけられない。
直し方はNFKC正規化という一行で、部首は普通の漢字に、全角数字は半角に、㈱ は (株) に寄ります。これで正解率は100%になった。
原因2:円マークがバックスラッシュだった
自分に実際に届いた請求書を入れてみて、もう1つ出た。税込合計の欄が、こう入っていた。
\11,880- (消費税 1,080円)
円マークではなく、バックスラッシュ。Shift_JISの時代に円マークとバックスラッシュが同じ番号を使っていた名残。¥ と ¥ だけ探していたので拾えていなかった。
原因3:取引先が「日エックスサーバー株式会社」になった
同じ請求書で、取引先の頭に謎の「日」が付いた。中身を見たら理由が分かった。
お支払い期限2026 年 8 月 30日エックスサーバー株式会社
宛先の列と発行元の列が同じ高さにあるので、1行にまとまって出てくる。社名を後ろ向きに切り出すと数字(30)で止まりますが、「日」は数字ではないので巻き込みます。
ここで安易に「頭の日を消す」とやると、今度は「日本電気株式会社」が壊れる。直前が日付の形になっているときだけ消す、という条件を付けた。
そして、当たっていたのは偶然だった
一番ぞっとしたのはここ。この請求書、3項目とも正解が表示されていた。でも内部の点数を見たら、日付は「支払期限として除外」扱い、金額は「消費税と同じ行にあるから減点」扱い。別のPDFなら普通に外していた。
原因は、ラベルの判定を「行全体」でやっていたこと。隣の列の「お支払い期限」が、1行上の「発行日」まで殺していた。判定を「その値の直前の十数文字」に変えて解決。
表示が当たっていても、中身が正しいとは限らない。気づけたのは、確度と根拠を画面に出す作りにしていたから。「要確認」のバッジが出ていたので、おかしいと分かった。
使い方
画面に設定はない。国税庁の例示に合わせるなら、並び順も区切り文字も選ばせる理由がないので全部消しました。
PDFを入れると、こう並ぶ。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 自動OK | 3項目とも根拠つきで取れた |
| 要確認 | 取れたが根拠が弱い(目で見て確認する) |
| 手入力 | 空欄が残っている |
日付・金額・取引先はその場で直せて、直すと新しいファイル名がすぐ追従します。候補が複数あるときは選ぶこともできます。
スキャンした画像だけのPDFは、そもそも文字が入っていないので自動では取れません。手入力になります。
「送っていません」の確かめ方
Webページに置いた以上、疑うのが当然。なので口約束にしない作りにした。
このページは外部への通信そのものをブラウザ機能で禁止しています(Content-Security-Policyで connect-src 'none' を宣言)。fetch、XHR、WebSocket、sendBeaconのどれも使えない。仮に送ろうとしてもブラウザが止める。公開中のURLに対して4種類とも試して、外から返事が返ってきた通信は0本。
確かめ方は3つ。
- ページを開いたあとでWi-Fiを切る。それでもPDFの解析もZIPの書き出しも同じように動きます
- ブラウザの開発者ツール(F12)の「ネットワーク」を開いたままPDFを入れる。通信は1本も増えません
- ページを保存して、ネットにつないでいないパソコンで開く。単体で動きます
アクセス解析のタグも入れていません。通信を禁止する宣言と両立しないので。サーバー側のアクセスログには「ページが開かれた」記録は残りますが、入れたPDFの中身やファイル名は残りません。
この道具だけでは終わりません
正直に書いておく。要件は3つあって、この道具が担当しているのは2つ目の一部だけ。
残っているのは改ざん防止の措置です。ここは国税庁が「訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて守る」という費用のかからない方法を認めていて、サンプルまで公開されています。法人用と個人事業者用のWordファイルが参考資料(各種規程等のサンプル)にあります(2026年8月22日に確認)。
ダウンロードして、自社の名前と適用開始日を入れて、承認して備え付ける。私はこれから自分の分をやる。やったらまた書く。
なお、無料で使えるものは他にもある。メーカーが配布しているアプリなど(例:アイ・オー・データの「命名くん」)。私が作ったのはブラウザで開くだけの1ファイルで、そこが違いというだけの話です。用途に合うものを選べばいい。
よくある質問
無料ですか? 会員登録は必要ですか?
無料で、登録も不要。URLを開いたらそのまま使えます。
何件までいけますか?
上限は設けていない。ただし全部お使いのパソコンの中で処理するので、数百件だと時間がかかる。急ぐなら数十件ずつに分けたほうが早い。
Excelで索引簿のCSVを開くと文字化けしませんか?
文字化けしない形(BOM付きUTF-8)で書き出している。開いてフィルタをかければ、取引先ごとや金額の大きい順でも見られる。毎月ぶんを継ぎ足したいときは、新しいCSVの2行目以降を既存の索引簿の下に貼るだけ。連番は貼ったあとに振り直す。
紙で受け取った請求書も対象ですか?
対象は「電子取引データ」、つまりメールに添付されてきたPDFやWebサイトからダウンロードした請求書。紙で受け取ったものは紙のまま保存するか、スキャナ保存という別の制度になります。
うちのPDFだと取れませんでした
いちばんありがたい報告です。書類の作りに合わせて調整できるので、お問い合わせから教えてください。送っていただいたPDFの中身をこちらで見ることはできない作りなので、「どんな書類で、どこが取れなかったか」を文章で教えていただければ十分。
他の道具
事務作業を楽にする道具は道具箱にまとめています。作ったら足していきます。「これが欲しい」があれば、そこから教えてください。
免責
この道具は要件を満たすための作業を助けるもので、要件を満たしていることを保証するものではありません。最終的な判断は各社でお願いします。税務上の判断や相談には応じられないので、必要な場合は税理士にご相談ください。法令の内容は2026年8月22日に国税庁の資料で確認した時点のものです。


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